移住者・住宅購入者インタビュー
2025/07/09
会社員を辞めて夫婦で農業の道へ。美祢市の豊かな自然を活かしたいちご作りに熱中!
- 鹿嶋智之さん・まなみさん
- Uターン
- 創業
- 就農
- 空き家購入者
- Q美祢市に移住されたのはいつ?
- 2020年4月です。移住と同時に新規就農し、夫婦2人でいちご農園「Agri charm(アグリチャーム)」を立ち上げました。
- Qこれまでの経歴を教えてください。
- 智之さん:私は美祢市の出身で、大学を卒業後、全国展開している大手家具メーカーで働いていました。年1回のペースで転勤する、いわゆる「転勤族」でした。
まなみさん:私は鹿児島県種子島の出身で、大学卒業後は品種改良なども手がける福岡県の種苗メーカーで働いていました。
智之さん:妻と私はもともと広島大学生物生産学部の同級生。私が福岡県に転勤になったことで再会し、そこからお付き合いして結婚しました。
- Q会社員を辞めて、いちご農家になったのはなぜですか?
- まなみさん:前職でいろんな農家さんと関わるうちに、農業をやりたい気持ちがどんどん大きくなっていきました。夫が転勤族だったので諦めの気持ちもありましたが、2人とも「農業という分野で社会貢献したい」という想いがあるのはわかっていましたから、30歳を前に将来についてしっかりと話し合ったんです。その結果、出した答えは2人で農業をすることでした。
智之さん:妻は大学で土壌分野を、私は植物栄養の分野を専攻していましたし、やっぱり2人とも農業が好きなんですよね。それに、ずっと転勤族でいるよりも、一つの場所に留まりたいという思いもありました。子どもに帰ってこれる「ふるさと」をつくってあげたかったんです。
まなみさん:品目にいちごを選んだのは、たくさん理由があります。一つは可愛くておいしいこと。二つ目はいろんな可能性を持ち合わせていること。果実のまま販売してもいいですし、ジャムやスイーツなど加工品にもできる。いちご狩りで観光化もできますから。何より、いちごってもらって喜ばない人はいないと思うんです。みんなに愛される果実だからこそ、一番地域に貢献できると考えました。
- Q移住先に美祢市を選んだ理由を教えてください。
- 智之さん:実は美祢市にUターンしようなんて気持ちは全くなくて、西日本を中心にいろんな場所で農地を探したんです。福岡県の糸島にはじまり、山口県内も何ヵ所か見て回っています。その中で一番真剣に話を聞いてくれて、私たちのやりたいことを受け入れてくれたのが美祢市の農林課でした。いちごでの参入が難しい地域もあれば、区画整備により作れる品目が限定されている地域や、一定期間は特定の品目を作り続けないといけない地域など、縛りがあるところも多くて。でも美祢市はすごく自由度が高く、近年ではあまり前例のないいちご栽培も歓迎してもらえました。そして、昼夜の寒暖差が大きい山間地に農園があるので、甘みのあるいちごが実ることも理由の一つです。
まなみさん:それに美祢市は自然が豊かですし、空気も水も美しい。さらに地震や津波など自然災害が少ないのもいいなと思いました。寒暖差は激しいですが、いちごを育てるにはメリットなんです。果実がゆっくり成熟するので甘いいちごができるんですよ。夫の地元ということで安心感もありますし、美祢市でやっていこうと決めました。
- Q移住に不安はありましたか?
- 智之さん:私はもともと住んでいたまちなので、特に不安はありませんでした。妻は海がないことに抵抗があったようです。
まなみさん:種子島育ちですから、やっぱり海が恋しくて。でも美祢市は車で30分も走れば海に行けるエリアですからね。少し不安だったのは、産婦人科がないことです。でも、美祢市は山口市、宇部市、山陽小野田市、下関市、長門市、萩市に隣接しますから、逆に選択肢が多いのではと夫に言われて、なるほどと思いました。実際、長門市の産婦人科で出産しました。海から近い病院で産みたかったんです。
- Q就農に向けてどんな準備をしましたか?
- 智之さん:私は職業訓練校で1年間建築について学び、妻は防府市の先進いちご農家で1年5ヵ月現地研修を受けました。
まなみさん:2人とも大学で学んだ農業の知識はありますが、実践となるとやっぱり現場で修業を積んだ方がいいと考え、分担して学びました。
智之さん:知人から譲り受けたビニールハウスを解体・運搬し、また組み立てる作業を自分でやったり、空き家バンクで見つけた住まいを自分達で改修したりと、1年間建築を学んだことが農業にも暮らしにもすごく活かされています。
※美祢市空き家等情報バンク制度(https://sundemine.jp/akiya/)
まなみさん:いちご栽培の師匠ができたこともすごく心強いです。アグリチャームでは、いちご栽培に地下100mの水を使っているのですが、それも師匠の「掘りなさい!」っていうアドバイスからです。水は深ければ深いほど美しく、菌を含む量も少なくなるので、おかげさまでうちのいちごは農薬をほとんど使わずに栽培できているんです。
- Q就農にあたり、補助制度などは活用しましたか?
- 智之さん:新規就農者を対象とした山口県の「農業次世代投資資金補助金(https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/annai/119825.html)」や、美祢市の「はじめてみ〜ね農業応援事業(https://www2.city.mine.lg.jp/soshiki/norinbu/norinka/sangyo/noringyo/nogyo/10930.html)」による助成金と「空き家有効活用促進事業(https://sundemine.jp/housing-information-old/akiya_katsuyou/)」のリフォーム補助金などを活用しました。
まなみさん:就農して今年で5年目ですが、台風で苗が傷んでしまったり、機材がトラブルを起こしたりなど、これまでいろんなアクシデントがありました。そんな中、補助制度にはたくさん助けられています。山口県、美祢市は農業従事者へのサポートが充実しているので、すごくありがたいですね。
- Q「Agri charm」について教えてください。
- まなみさん:秋吉台のふもとにあるいちご農園で、地下100mから汲み上げた地下水で栽培しています。IPM栽培(Integrated Pest Management:総合的病害虫・雑草管理)を採用していて、化学農薬には頼らず、水や環境、栽培方法、品種など、いちごに関わる全てにこだわった、「見て!食べて!幸せな気持ちになれるいちご作り」をしています。
智之さん:栽培するいちごは、「かおりの」や「恋みのり」、「桃薫」など7種類で、年々増えていっています。肥料の配合やタイミングなども試行錯誤し、よりおいしいいちごになるように日々研鑽しています。安心安全ないちごなので、洗わずそのまま食べていただけます。
まなみさん:ありがたいことにリピーターも多く、広島県や福岡県など遠方から足を運んでくださる方もいらっしゃいます。直売所はもちろん、ネット販売もしていますのでぜひご利用ください。
智之さん:いちごの品質向上を図りつつ、将来は観光農園化も検討しています。ビオトープや子どもが遊べる場所、地域の方が集える場所を作って、美祢市の活性化にもつながればいいなと思っています。
- Q美祢市の住み心地はいかがですか?
- まなみさん:豊かな自然に囲まれてのんびりと過ごしています。ずっとやりたかった農業ができて、毎日充実しています。それに、ご近所のみなさんがとっても親切で、いつも助けていただいています。移住して最初の年は、30年に一度といわれるくらい大型の台風で、私たち夫婦は夫の実家に避難し、いちごの苗はリノベーション中の自宅に避難させることにしたんです。するとみなさんが運ぶのを手伝ってくださって、感謝とともに、当たり前の感覚で助け合える地域なんだと驚きました。
智之さん:会社員時代より、精神面はすごく安定しています。年1回、家族で旅行するのですが、都会に行っても思わず緑を探してしまうくらいなので、美祢市での暮らしが合っているんだと思います。自然相手の商売なので経済的な不安は多少ありますが、それでも以前よりずっと生き生き暮らせています。
まなみさん:移住後に生まれた第一子ものびのびと成長しています。ご近所さんがいつも気にかけくれて地域で育ててもらっている感覚もあり、移住してよかったなと心から思っています。
- Q美祢市の魅力とはなんですか?
- 智之さん:自然しかないところ。こういうと、田舎暮らし、いわゆるスローライフを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、美祢市は私たちのように事業をされている方が意外と多いんです。まだないものがたくさんあって、しかも自由度の高い地域なので、やりたいことをどんどんやっていける市なのではないでしょうか。
まなみさん:私も他にはない広大な自然が美祢市の魅力だと思います。秋吉台、秋芳洞、弁天池などこんな身近に自然の神秘にふれられる場所は珍しいです。ちなみに、私が一番気に入っているのは、万倉の大岩郷です。あんな大量の大きな岩がどこからやってきたんだろう…といつも興味深く見ています。美祢市を訪れた際にはぜひ立ち寄ってもらいたいです。
※万倉の大岩郷(https://www2.city.mine.lg.jp/soshiki/kyoiku/hogoka/bunkazai/bunkazai/kunishitei/kinembutsu/2299.html)
智之さん:あとは地域のみなさんが温かいところ、食べ物が何でもおいしいところでしょうか。新幹線の停車駅にも空港にも車で30分程度で行けるアクセスの良さも魅力だと思います。
- Q最後に移住を考えておられる方にアドバイスをお願いします。
- まなみさん:美祢市はすごく暮らしやすくて、やりたいことに挑戦できるまちです。若い人にどんどん来てもらいたいなって思います。
智之さん:「地域を変えていきたい!」っていう若い人がすごく多いです。何かを立ち上げたり、まちづくりに取り組んだりなど、若い世代が活発に活動している未来のあるまちだと感じています。自分の市を自分でどうにかしたいという感覚は都会ではなかなか味わえないでしょうし、実際に行動を起こす機会もあまりないんじゃないかと思います。美祢市は若い人が主体となって暮らしていけるまちです。ぜひ一緒に美祢市を変えていきましょう。
インタビュー年月:2025年3月
プロフィール
鹿嶋 智之さん
職業:Agri charm 経営責任者
出身地:山口県美祢市
現住所:山口県美祢市秋芳町
移住した年:2020年4月
鹿嶋 まなみさん
職業:Agri charm 代表
出身地:鹿児島県
現住所:山口県美祢市秋芳町
移住した年:2020年4月
お問い合わせ
- 美祢市 総務企画部 地域振興課
- 電話番号:0837-52-1128
FAX番号:0837-53-1959
メールアドレス:chiikishinkou@city.mine.lg.jp